医療とAI
AI(人工知能)や生成AIを巡る議論が活発ですが、医療現場でもこれらの新技術を活用する動きが広がっています。
画像診断などで普及
今年4月から「医師の働き方改革」が始まったこともあり、総合病院などでは業務効率化を目的として電子カルテなどにAIを活用する動きが活発ですが、私たちのような開業医の大半はまだその段階にはありません。
利用されているのはもっぱらCT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)といった画像診断装置の補助としてというのが多いようです。
開業医には心強い存在
この場合、AIが「ここにがんがあります」などと診断してくれるわけではありません。がんのありそうな場所を可能性の高い順から赤→だいだい→黄→緑→青→無色といった具合に色分けして表示してくれるのです。もちろん最終的に診断するのは医師です。
私たち内科の開業医は、勤務医時代にレントゲンなどの画像の読影をくり返して独立を果たします。ただ読影には見落としもあり得ます。
勤務医時代のように相談できる専門医や放射線科に依頼できるわけではないだけに、AIは非常に心強い存在です。
疾患特定や検査法でも
画像診断だけでなく、一般的な診療でも患者の症状や採血結果からどのような疾患が疑われ、どのような検査をすればよいのかをAIが示すプログラムなども開発されているようです。
活用には慎重論も
ただ、AIの診療行為への活用は時期尚早との声もあります。医療ミスは命に関わるだけに、正確性を高めないと診断や医療には使えないというのです。
技術が進歩しても一定のミスは起こり得るわけで、問題が生じた時の責任の所在などまだ議論の余地はありそうです。
きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。