相続の基礎知識
相続の基礎知識/(62)税申告後の修正
相続税の申告期限は被相続人が亡くなってから10カ月以内ですが、申告後、いったん取得した財産の割合が変わるケースがあります。
遺留分の減殺請求
そのケースは「遺留分」の「減殺請求」が生じた場合です。いきなり聞きなれない用語が2つもでてきましたね。これからご説明しましょう。
まず遺留分とは法律で認められた最低限の財産のことをいいます。遺言などで遺留分を侵害された人は、遺贈または贈与を受けた人に対して支払いを求めることができます。これを減殺請求といいます。
相続税の申告後に遺留分の減殺請求がなされると、各人が取得した財産の割合が変わることがあります。
相続財産全体は変わらず
相続税は相続財産全体に対して課税されるもので、遺留分の減殺請求がなされても相続財産全体は変わらないわけですから、相続税の申告を修正する必要はありません。
修正申告の必要も
ただ、相続税は相続財産全体に対して計算した後、その総額を各人が取得した財産の割合で分けて納税することになっています。
従って、相続財産が減った人は更正の請求という手続きを行い、払いすぎた相続税を還付してもらうことが可能です。
遺留分の減殺請求が認められ、相続財産が増えた人は修正申告を行い、相続税を納付する必要があります。この手続きを踏まないと、相続税の総額が納まっていないことになるためです。
配偶者の相続では
また、配偶者が相続した財産について遺留分の減殺請求がなされると、配偶者の税額軽減を適用して配偶者の相続税が減額されていたのにそれが減額されないことになりますので、当初よりも相続税の総額が増えることになります。この場合も相続税の修正申告が必要になります。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。