相続の基礎知識
相続の基礎知識/(63)遺贈寄付
「自分の死後、残ったお金は世の中のために使って欲しい」と考える人もいらっしゃるはず。そんな思いを実現するのが「遺贈寄付」です。
「終活」でも脚光
遺贈寄付という制度そのものは以前からありましたが、高齢化に伴って「終活」の一環として関心が高まっているほか、税金対策としても今、遺贈寄付に関心が高まっています。寄付先はNPO法人、公益法人、学校など様々です。
「遺言」と「相続財産」
遺贈寄付には大別して「遺言による寄付」と「相続財産による寄付」があります。前者は遺言で寄付先を指定しますので、寄付者は被相続人(亡くなった人)になります。後者は相続で財産を取得した相続人が寄付者になります。
相続税の負担軽減
遺言による寄付の場合、寄付した財産は相続税の課税対象から外れ、相続税の負担軽減になるというメリットがあります。
また相続税とは相続や遺贈によって財産を取得した個人に課せられるものですから、遺言によって寄付を受けた法人や学校には原則として相続税は課せられません。
遺言で寄付を受けたのが個人の場合は原則として相続税が課せられますが、その個人が公益的な事業を行っている場合は非課税になることもあります。
所得税や住民税も
相続財産の寄付の場合、いったん財産を取得した相続人には相続税が課せられますが、相続税の申告期限内に寄付を行えばその分の相続税は非課税になります。
また寄付した相続人の所得税や住民税の計算上でも寄付金控除を受けることができます。
慎重に検討を
遺贈寄付には税制上のメリットがある一方、相続人の今後の生活にも影響を及ぼしかねない面もあり、専門家にも相談してしっかり検討することが必要です。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。