恋愛の賞味期限
恋愛に賞味期限はあるのでしょうか?俗説では「3年」と言われていますが、米・ニューヨーク大の研究チームの報告では「12~18カ月」とされています。
多い4年目の離婚
人間を含む哺乳類(ほにゅうるい)の中で、子育てをするためにペアになる種はわずか3%。しかもペアを維持するのは子が幼少期を過ぎるまでというのが大半です。
実際、米・ラトガーズ大のフィッシャー教授の調査によれば、人間の場合、離婚は結婚後早い時期が多く、ピークは結婚4年目でした。この4年という期間は生物学的にみると、赤ちゃんから幼児への子育てが終わる時期に相当します。
家族想いのホルモン
リス科のプレーリードッグのペアは強い絆で結ばれており、多くは生涯一夫一婦を貫きます。
その理由はオスの脳に〝家族想いのホルモン〟であるバソプレシン受容体(V1aR)が多いからとされますが、中にはV1aRが少ない個体もいて、例外的に浮気を繰り返すようです。
遺伝子で分かる浮気性
そんなV1aRの特性に着目し、スウェーデン・カロリンスカ大が人間の男性の遺伝子変異を調べたところ、確かにV1aRに関連して一定の遺伝子変異を有する男性に離婚を含む結婚の危機を経験している確率が高いことが分かりました。
同大は「だからと言って夫婦関係が決まるわけではない」とクギを刺していますが、ワシントンポストなど多くのマスコミは早とちりして「離婚遺伝子が存在した!」「結婚には向いていない男性は遺伝子を調べれば分かる」などと報じています。
「恋愛」から「愛着」へ
話がそれていきましたが、恋愛に賞味期限があるとしても、それを過ぎれば関係が終わりになるわけではなく、「恋愛」から「愛着」へと心情が変化するものと信じたいところです。
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。