山形コミュニティ新聞WEB版

内科あれこれ

薬の弊害について

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 昨今、週刊誌などで薬の飲みすぎによる弊害が取り上げられています。中には血圧を下げる降圧剤をやり玉に挙げ、「そもそも血圧が高いことは病気なのか」と提起しているものもありました。

生活習慣病は「状態」

 高血圧、糖尿病、高脂血症のいわゆる〝生活習慣病〟といわれるものは、私も「病気」ではなく「状態」を表しているものと考えています。その人々の「体質」という側面もあります。

 ですので、生活習慣を見直すことができれば、薬に頼らずともそれぞれの状態を改善することは可能だと思います。

クスリの目的は?

 ただ、生活習慣の見直しは現実には難しいものです。そのため、まずは薬で状態を改善し、それを継続することで脳卒中や心筋梗塞(しんきんこうそく)などの大事に至らせない状態にすることを目的にします。

 つまり数値の改善が目的ではなく、その結果としての生活や生命に重大な影響の出る病気を防ぐことが目的なのです。

「減らす」「やめる」も

 かといって、薬に頼り続けるのは確かに考えものです。血圧にせよ血糖値にせよ、服用している間に必要以上に数値が下がった場合は、服用を減らしたりやめることはもちろん必要です。

 また高齢者の場合、降圧剤を服用している人の方が服用していない人より転倒骨折のリスクが高くなることも指摘されています。

 いずれの場合も、それなら薬はいらないのかと言えばそうではなく、一人ひとりに合った治療が必要ということです。

自分で判断せず

 週刊誌の中には「血圧が良好なら自分の判断で薬をやめてみることもお勧め」といった文言がありましたが、さすがにこれはやめていただきたい。服用したりやめたりは最もコントロールを乱す原因になります。「生兵法はケガのもと」で、まずは主治医に相談しましょう。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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