抗体製剤
ぜんそくの患者さんの治療は吸入薬や内服薬が基本ですが、重症の患者さんの場合は注射で「抗体製剤」というお薬を選択することもあります。
ぜんそくの原因を抑える
吸入薬や内服薬は起きてしまった後の気道の炎症、閉塞を抑える治療薬です。これに対して抗体製剤は気道の炎症そのものを起こさないようにする治療薬で、ぜんそくの原因そのものを抑えるところが特徴です。
吸入薬や内服薬でも症状が改善しなかったり、重症の患者さんには抗体製剤の使用を考えます。現在は5種類の抗体製剤があり、全て皮下注射で、投与間隔は薬剤によって異なります。
負担を減らせる場合も
難点は医療費が高額なところですが、医療費控除や高額療養費制度、自治体による補助が受けられる場合もあります。
各薬品ごとに医療費のシミュレーションなどが行えるようになっていますので、先生から抗体製剤の話があった場合は確認してみてください。
私もぜんそく持ちで
個人的な話になりますが、私は小児ぜんそくで、幼少期は入退院を繰り返す日々でした。発作が起きやすい夜間、苦しくて横になれない私のために、座った状態で眠れるように母が座椅子のように私を夜通し抱き抱えていてくれていたことを今でも思い出します。
1990年代に吸入ステロイドが登場するまで、私のようにぜんそくに苦しんでいた子ども達は数多くいました。その後の治療法の日進月歩で寛解を目指せる時代になったことは隔世の感があります。
今後とも患者さんによりよい治療を提案できるよう、私達も日々勉強していきます。
ご愛読に感謝します
私の連載は今回でひとまず筆を置きます。ご愛読いただきました皆様に感謝致します。皆様がこれからも健康でおすごしいただけるよう祈念しています。
さとう花の森呼吸器内科クリニック 院長
佐藤 千紗(さとう ちさ)
山形市生まれ。山形西高から北里大医学部に進み、2006年に同大卒業後に山形済生病院で初期研修医。同病院呼吸器内科、山大附属病院第一内科などを経て22年12月に「さとう花の森呼吸器内科クリニック」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。