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税金の基礎知識

税金の基礎知識/(09)令和7年度の税制改正

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 令和7年度の税制改正では、物価高騰下での税負担の調整などの観点から、所得税の基礎控除の額が最高58万円、給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げられる見込みです。つまり年収123万円までは所得税が課されないということで、103万円の壁は123万円の壁に。

 老後の生活に重要な資金が退職金。退職金には、退職時に一括で受け取る退職手当や、定額を定期的に受け取る企業年金、個人事業者や経営者が加入する小規模企業共済などがあります。

 また、これまで大学生(19歳から22歳まで)などの親族を扶養する親は、「特定扶養控除」が適用され、その親族の年収が103万円までは63万円の控除を受けられましたが、7年度からは103万円を超えても「特定親族特別控除(仮称)」という新たな仕組みが創設され、188万まではいくらかの控除を受けられるようになります。

 さらに、国会では現在も103万円の壁を巡り、年収200万円以下の場合は基礎控除58万円に37万円を上乗せするという案、つまり所得税が課されない「壁」が160万円となる案も協議されています。

 現時点で確定されていないため続報を見守りたいところですが、所得税の計算は非常に複雑になってきており、給与や税金を扱う現場では相当な事務負担が発生することが予想されます。

鈴木僚税理士事務所 税理士

鈴木 僚(すずき りょう)

1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。

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