相手をつなぎとめるために(上)
パートナーをつなぎとめるための手段として、パートナーに肉体的暴力をふるうのは圧倒的に男性が多いようです。
男性に多い肉体的暴力
米フロリダ・アトランティック大の研究チームは、男性586人、女性667人を対象に、男性のパートナーつなぎとめ方法と肉体的暴力との関係を調査しました。
その結果、暴力の行使に走りやすい人は「パートナーの行動を監視する」「ライバルのいるところにパートナーを連れて行かない」「パートナーのそばに四六時中いる」「泣き落とし」などの行動をとる人たちでした。
言葉の暴力も

肉体的暴力だけでなく、パートナーへの言葉の暴力も男性に多く見られます。さまざまな言葉でパートナーとしての価値のなさを強調し、人間としての価値まで否定する発言をして心理的に操ろうとするタチの悪いやり方です。
こうした言葉の暴力をふるう男性も「監視」「隔離」「独占」を使う人に多いようです。肉体的暴力を同時に行使する傾向もみられます。
筑波大も調査
筑波大の研究チームの調査では、男女を問わず調査対象者の20~40%が相手の居場所のチェック、携帯電話のチェック、パートナーの独占を行っていました。
これらの行動が最終的には暴力につながることも明らかにされました。
日本は上下関係を反映
前回で紹介した米テキサス大のバス教授は、パートナーをつなぎとめるための19の戦略を指摘しましたが、筑波大研究チームがこの手段の日米差を比較しました。
それによれば、自分をアピールする点では米国の方が高い傾向にありましたが、パートナーに服従を強いたり、パートナーの価値を下げたりする点では日本の方が高いことが分かりました。
日本では上下関係を反映した手段が強いようでした。

山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。
