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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》第165回 年末の七日町(山形市)

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 年の瀬が近づくと往年の七日町はにわかに活気づき、アーケード通りを行き来する人の姿は格段に増えたものだった。

《セピア色の風景帖》第165回 年末の七日町(山形市)

 人が集まる商業施設の二大巨頭は言うまでもなくデパートの大沼と丸久であったが、当時はほかにも緑屋、駅前に移転する前の十字屋、のちに天童に移ることになる長崎屋、新興勢力のジャスコといった大店舗がひしめいていた。
 選択肢が多かった分、家族構成により回遊ルートは違ったようだ。

 我が家ではまず大沼か丸久に立ち寄り、最後にみつますで生鮮品を買うことが多かったと記憶している。みつますが最後になるのは、生鮮品は足が早いことと、床に水が撒かれていることが多く、足元が濡れることを心配してのことだった。

《セピア色の風景帖》第165回 年末の七日町(山形市)

 たまに時間と予算に余裕がある時には、デパートの大食堂で昼食を食べることもあった。銀のスタンドで提供されるソフトクリームや旗の立ったお子様ランチではなく、なぜかよくザルそばを注文していた。
 御歳暮、御年始などの品々に加え、干し柿の束と注連飾りが並び、新巻鮭のにおいが漂っていた時代の記憶である。(F)

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