セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》第160回 山形市の街並み
一方通行を解消すべく、山形市中心街では道路拡幅計画が目白押しである。それに伴い古い建物は静かに姿を消し、広くなった道の両脇に現れるのは駐車場やマンション、ホテル…。
山形市の中心街でマンションが次々と誕生するのにはそれなりの理由があるのだろう。
日照権への配慮といった建築条件が緩く、高い建物が建てられるため地価が少々高くても戸数でカバーできる。また自治体が多額の補助金を付けることが多いため、業者には旨味もある。
1階にコンビニでも配置すれば商業施設としてうたえるし、需要を期待して近隣地主が造った駐車場があれば、目の前の道路は拡幅済みで言うことなしというところか。
ただ、かつての商店やデパートがあったところにマンションができても、そこに往時のように人が再び集まるのだろうか。居住人口が増えれば賑わいが復活するなどというのは幻想で、結局は夜だけ人が帰ってくる多くのマンションが残るだけではないのか。
補助金を付け、文化財を撤去してまで改造した街並みが「山形らしい」と思える日が来るのだろうか。(F)