セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》 第100回 旧山形市立第七小学校
山形市城北町にある市立第七小学校の校章はミツバチ。「七なのにハチとはこれ如何に」と茶々を入れたくなるが、実は七小は昭和9年、第八尋常高等小学校として開校したのだった。
アールデコ調と呼ばれる建築様式は先んじて取り壊された旧第六小学校と酷似しており、風格と様式美を感じさせた。
校舎中央の塔は学校にとどまらず、周辺地域のシンボルとして親しまれた。塔の内部は階段室になっており、戦時には最上部が敵機来襲に備える監視所になったと聞く。
1970年代半ばには在校生が千五百人に膨らんだことから、西田に分離設置した市立西小学校が約五百人を吸収した。
校舎は七十余年もの永きに渡って使用され続けたが、老朽化には勝てず、2007年には新校舎に刷新された。
せめてシンボルの中央塔だけでも文化財としての保存が望まれたが、文化財指定が見送られたこともあり、旧校舎は校門の一部を残して08中に全て撤去された。 (F)