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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第八十五回 ゴミ箱

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 ひと昔前は、家で出たゴミは家で処理するのが普通だった。

《セピア色の風景帖》 第八十五回 ゴミ箱

 灯油缶やドラム缶を利用したゴミ焼き容器を庭に置き、溜まったゴミはその容器に入れて火をつけていた。火の周りにはいつしか人が集まり、よもやま話に花を咲かせる光景があちこちで見られたものだ。
 生ゴミは畑に撒いたり土に埋めたりしていた家が多かったようだが、処理できないものは木製やコンクリート製のゴミ箱に「投げて」おけば回収されていたように思う。
 これらのゴミ箱が通りに面した家の前に置かれていたのは、回収しやすいようにとの黙契だったのだろう。

 ビン類は酒屋に持って行けば換金できたし、ペットボトルもなかった時代。家で出るゴミの量はそう多くなかったはずだが、近くの川に投げてしてしまう家も少なくなかったのではないか。
 やがて家での焼却や勝手な投棄を禁止する今のルールが導入された。 (F)

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