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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第七十一回 ハッピー工業旧本社

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 ヤマザワ北駅前店の閉鎖に伴い、地元からの強い要請で2年前にオープンしたヤマザワ宮町店の敷地に以前はハッピー工業の本社工場があった。

 《セピア色の風景帖》 第七十一回 ハッピー工業旧本社

 戦後間もないころのものと思われる木造の事務所は当時の学校建築にも似て、古いながらも凛(りん)とした存在感があった。
 効果的な採光の工夫が凝らされた窓の内部は、昼間なら点灯しなくても仕事ができるほどの明るさを確保した落ち着いた空間と思われた。
 工場は目的別に建っていて、平屋や2階建ての棟が群をなしていた。かつて工員の寮だったと思われる建物もあったが、後から別の工員寮が建てられたこともあり、こちらは早い段階から使われなくなったようだ。
 南側には山形三小があり、工場の間の道も通学路であった。両脇を塀で囲まれたその道は殺風景な感じもしたが、当時通っていた人にとってはそれもまた懐かしい風景であったことだろう。

 同社の創業は大正12年で、帝国人造絹絲(現在の帝人)が米沢で誕生した5年後に機織り機械の部品製造でスタートしたと聞く。宮町を去り、現在の本社工場は立谷川工業団地にある。 (F)

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