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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第四十七回 三浦商店

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 かつて霞城公園の大手門近くには石造り風の重厚な外観を持つ三浦商店があった。

《セピア色の風景帖》 第四十七回 三浦商店

 今でこそ運動施設の郊外移転が進み、霞城公園に中体連や高体連の大会が集中することはなくなったが、以前は室内競技だけでなくサッカーやテニスの大会も行われていたため、当日は早朝から学生が陸続と公園に流れ込んでいった。
  そんな学生たちが行列のついでに昼食のパンや飲料を調達していたのが三浦商店だった。普段はお堀の釣り人ぐらいしか訪れないこの店に大会日は学生が大挙して押し寄せるため、店としては特別な仕入れが必要だったのではないだろうか。
 隣には寿司屋があったのだが、もちろん昼食に寿司を選ぶ学生などなく、せいぜい大会役員が利用していた程度であったろう。
  霞城公園からの運動施設の分散化が進んだのは平成4年の国体開催がきっかけだったと記憶している。さらにコンビニ各社の県内進出が進むと、学生は個人商店の利用を時代遅れのことでもあるように敬遠しはじめた。
 以前は門前市をなしていた三浦商店も、大会日にもかかわらず学生が訪れずに閑古鳥が鳴くようになり、いつしかひっそりと姿を消していった。(F)

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