セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》 第四十六回 駅裏時代の店
JR山形駅西口では霞城セントラルが整備されて以降、大規模マンション、大手ホテル、全国チェーンのスーパーが次々と姿を現した。
これとは逆に「駅裏」と呼ばれていた時代から店を構えていた小規模店は「駅西」の時代に入りことごとく衰退していった。開発の狙いは商業振興にもあったはずだが、気づいてみると多くの店が移転や廃業しているのは皮肉といえる。
焼肉アリラン、料亭上条、八文字屋などの老舗も例外ではなく、この地から姿を消していった。
共同書房などは移転を迫られ、激しい抗議文を店舗に貼り付けて抵抗していたようだが、結局は押し切られた。代替地は商業地でなかったため廃業したという話を後で聞いた。
古くから親しんだ地元の店が消え、全国チェーンだけが残ることを「開発」「発展」と呼ばなければならないことが寂しい。(F)