山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第二十三回 新築西通り

Share!

 新築西通りという名称は初代の山形県令(県知事)として赴任した三島通庸のもとで行われた区画整理事業に由来する。

《セピア色の風景帖》 第二十三回 新築西通り

 事業は当然のことながら「東通り」「中通り」「北通り」もあったが、現在も名称をとどめているのは「西通り」だけ。西通りの事業には千歳公園や官舎などの整備のほか、後に山形のシンボルとなるサクランボがアメリカから導入され、産業振興の試験としてこの一帯に植えられたとか。
 昭和末期までは市内を代表する家具店やスポーツ店、菓子店や書店などがそろうにぎやかな商店街だったが、郊外の開発が進んだ近年は狭い道幅の一方通行がネックになり、通過道路になってしまった。植木市などでにぎわう日があるものの平日の客足は確実に郊外に流れていった。

《セピア色の風景帖》 第二十三回 新築西通り

 商店街テコ入れのためか、あるいは交通の流れを良くするためか、平成に入って「家具の田丸」が郊外に移転したのを機に道路の拡幅工事が始まった。工事を嫌気して他の街に去った店もあれば、この地で頑張り続ける店もある。平成版「新築」はこの通りに再興をもたらすのだろうか。(F)

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間