山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第二十二回 小松原一帯

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「小松原」といってもピンとこない人は多いかも知れないが、現在の「山形ニュータウン(みはらしの丘)」の以前の名称だ。

《セピア色の風景帖》 第二十二回 小松原一帯

 ブドウ畑が多いこの地区に大学、病院をはじめ大規模な生活基盤を備えた一大都市が建設されると最初に聞いたのは十数年前のことになる。小高い丘になっているこの地からは蔵王の峰々を眺望でき、雄大な気分に浸ることができる。それだけに構想の規模も大きくなるのか、古くからこのあたりにはいろいろなプロジェクトが浮かんでは消えていった。

小松原

 有名なところでは半郷を登り口に蔵王温泉に到達する蔵王高速電鉄の構想、小松原から蔵王に向けた長大なロープウェイ架設構想があったが、実現には至らなかった。「山形ニュータウン構想」はどうなっているのだろう。

小松原

 ブドウ生産で生計を立てていた農家の大半は代替地に移り、ブドウ畑や林の木々は伐採された。点在していた沼の多くも埋め立てられ、かつてどこにあったのかさえ判然としなくなっている。そうして整地は徹底的に行われたのだが、公共施設や居住者の移入はそれほど順調ではないようにみえる。

《セピア色の風景帖》 第二十二回 小松原一帯

 小松原の風景を一変させた大プロジェクトが未消化のまま終わることのないよう祈るばかりだ。  (F)

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