山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第十七回 山形駅周辺(1)

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 山形新幹線の開通に合わせて平成4年にJR山形駅がリニューアルされ、その周辺もまた大きな変貌を遂げた。「せっかく東京からお客さんがござるのにみっともない建物では申し訳ない」とばかり、古い建物は猛烈な勢いで取り壊されていった。

《セピア色の風景帖》 第十七回 山形駅周辺(1)

 駅北側、現在の山形駅東口交通センターのあたりには高い木々や草やぶを庭に持つ木造の国鉄宿舎があった。 夏の日中にはセミやカマキリがあちこちに、夜にはスズムシやコオロギの鳴き声がそこかしこで聞かれるなど、とても県都の中心部とは思えなかった。向かい側の「かのや食堂」では具がネギだけという学生ラーメンが二百円で食べられた。

《セピア色の風景帖》 第十七回 山形駅周辺(1)

 さらに北に進むと鉄道病院やダイヤモンドホテルなどの大きな建物に加え、ピンク映画館の看板や「菅原魚屋」、店名のわからぬ履物屋などがひしめくように建っていた。
 あのバラックのような履物屋はどうやって生計を立てていたのであろう。稀に来店客は見かけたが、売れている様子はほとんどなかった。長く隣の「江戸寿司」の建物にへばりつくようにして営業していたが、最後は雪の重みで倒壊したようだ。

《セピア色の風景帖》 第十七回 山形駅周辺(1)

 通りが城南陸橋に突き当たる場所は「椹屋酒店」だったが、今はコンビニに変わっている。   (F)

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