相続の基礎知識
相続の基礎知識/(38)結婚・子育て資金の一括贈与
前回は「教育資金の一括贈与の非課税制度」のお話でしたが、今回はこれと似た「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」のお話です。
1000万円まで非課税
この制度は、両親や祖父母から18歳以上50歳未満の子や孫1人につき、結婚・子育て資金1000万円までの一括贈与が非課税になるというものです。
少子化の進む日本では経済面から結婚や出産を断念するケースもあるとされます。制度の狙いは上の世代から下の世代への財産移転を進め、少子化対策と経済活性化につなげることにあります。
この制度も当初は2023年3月までの時限立法でしたが、23年度の税制改正で25年3月までの延長が決まりました。
金融機関で口座開設
金銭の用途は、挙式費用、新居費用などの結婚費用(上限300万円)のほか、不妊治療に要する費用、出産費用、幼稚園・保育所の保育料などです。
これらの資金は金融機関に専用の口座を開設する必要があり、税務署に申告書を提出して非課税制度が利用できます。
注意点もあります
注意点は、制度が利用できるのは前年の合計所得金額が1000万円以下の場合に限られます。また贈与した人が亡くなり、使い切れていない残額があると相続税の対象になります。贈与する相手が孫の場合は、相続税は2割増しになります。
受贈者が50歳になると制度は利用できなくなり、使い切れず残額がある場合は贈与があったとみなされ、その年の贈与の合計額が110万を超えれば申告期限までに贈与税の申告を行う必要も出てきます。
専門家に相談を
メリットが大きい制度ですが、注意点もあるためしっかりとした検討が必要です。一度、専門家にご相談ください。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。