相続の基礎知識
相続の基礎知識/(22)高額医療費の受け取り
今回は亡くなった人が公的医療保険に加入していて、相続人が高額医療費を受け取る場合のお話です。
高額医療費制度とは
そもそも高額医療費制度とは、1カ月間(その月の1日から末日まで)に医療機関や薬局の窓口で支払った額が「自己負担限度額」を超えた場合、超えた金額が払い戻されるという制度です。
対象者は、協会けんぽ、健康保険組合、市町村国保、後期高齢者医療制度など公的医療保険に加入している方です。
自己負担額を超えれば
自己負担限度額は本人の年齢や所得区分により決められています。例えば、70歳未満で年収370万~770万円の場合、「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」が自己負担限度額です。
例えば、入院や手術などで1カ月に100万円かかったとしましょう。3割負担なので窓口でいったんは30万円を支払いますが、自己負担額は8万7430円なので、差し引き21万2570円が払い戻されることになります。
請求には時効も
公的医療保険加入者が亡くなった場合、未支給の高額医療費があれば相続人が請求することができます。
加入している医療保険によっては、支給対象となる旨の通知が届いたり、自動的に振り込んでくれたりするところもありますが、診療を受けた月の翌月の初日から2年間で時効となりますので注意が必要です。
加入保険先に書類提出
実際に相続人が請求して払い戻しを受けるには、相続人となる方が必要な書類をそろえ、亡くなった被相続人が加入していた公的医療保険に提出することになります。
どの医療保険に加入しているかは、被相続人のの保険証(被保険者証)の表面で確認することができます。
社会保険労務士
中嶋 英統(なかじま ひでのり)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2010年に社会保険労務士資格取得。趣味は健康管理。