犬部!
動物保護まみれの青春
北里大獣医学部(青森県十和田市)に実在した動物保護サークル「犬部」を描いた片野ゆかのノンフィクション「北里大学獣医学部犬部!」を原案に、「山桜」「小川の辺」など藤沢周平原作の映画化で山形にも馴染みの深い篠原哲雄監督がメガホンを取った青春ドラマ。
北里大獣医学部生の花井颯太(林遣都)は子どものころから大の犬好きで、周囲からは“犬バカ”と呼ばれるほど。1人暮らしのアパートは保護動物で一杯。周りからは変人扱いされても、目の前の命を救いたいという一途な想いで保護活動を続けていた。
そんな颯太は、心を閉ざした1匹の実験犬を救ったことをきっかけに動物保護活動サークル「犬部」を設立する。
犬部には颯太に負けず劣らず犬好きの同級生・柴崎涼介(中川大志)、猫好きの佐備川よしみ(大原櫻子)、教授の手伝いをしていた秋田智彦(浅香航大)もメンバーに加わる。彼らは「生きているものはすべて助ける」をモットーに動物保護三昧の青春を駆け抜け、それぞれの夢に向かって社会に羽ばたいていくのだった。
それから16年後。獣医師になっても相変わらずの犬バカぶりで、一途に保護活動を続けていた颯太が逮捕されたという報道がメンバーのもとに届く。
開業医として、研究者として、動物愛護センター所長として、それぞれの熱い想いで動物と向き合ってきたメンバーが再集結するが、そこになぜか柴崎の姿だけは見当たらなかった――。
出演はほかに田中麗奈、酒向芳、螢雪次朗、岩松了ら。
動物の命と幸せを守るために遮二無二突き進む犬バカの主人公・花井颯太は、現在は東京で「ハナ動物病院」を運営する太田快作さんがモデル。「犬部」のメンバーたちの熱い想いと奮闘を描いた笑いあり涙ありの青春奮闘群像劇。
こういう若者たちが実在し、社会に出てもその想いを貫いているということに感動を覚える。
シネマパーソナリティー
荒井 幸博
1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。