〈荒井幸博のシネマつれづれ〉山形ゆかりの映画人
山形の映画人の活躍来年も
山形ゆかりの映画が脚光を浴びているように感じる昨今。今年公開された映画から一緒にたどってみましょう。
「九十歳。何がめでたい」のメガホンを取ったのは東北芸術工科大の映像学科で教鞭を執っていた前田哲監督。「バジーノイズ」の風間太樹監督は南陽市出身で、芸工大で前田監督の教え子。大人気ドラマ「海のはじまり」も手掛ける活躍ぶりだ。
草彅剛主演・白石和彌監督「碁盤斬り」の脚本を手掛けた加藤正人さんも芸工大で教えていた。「ルックバック」の原作者・藤本タツキさんは芸工大美術科洋画コース卒で、芸工大の建物が重要な場面で登場する。「朽ちないサクラ」は県在住の作家・柚月裕子さんの同名小説を映画化したもの。
山形でロケされた映画といえば、米沢市を中心に山形市、上山市、天童市、高畠町、飯豊町が舞台のアニメ「好きでも嫌いなあまのじゃく」、山形市と新庄市で撮影された「正しいアイコラの作り方」、鶴岡市を中心に撮影された「プロミスト・ランド」などがあり、インバウンドにも寄与したはず。
今年は巡回上映も盛り上がった。2019年にアフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師の足跡をたどったドキュメンタリー「劇場版 荒野に希望の灯をともす」は県内約20カ所で上映され、全国でも最高の1万人もの観客を動員した。メガホンを取った谷津賢二監督は5度も舞台挨拶で山形を訪れ、実行委員及び観客の熱心さに感服してくれていた。上映は来年も続く。
来年も山形の快進撃はとまらない。1月17日に公開される大泉洋主演の大型時代劇「室町無頼」のキャラクターデザインを真室川町出身の荒木里江さんが担当。同日公開の菅田将暉主演「サンセット・サンライズ」は最上町出身・岸善幸監督作品。
そして芸工大理事長・根岸吉太郎監督が16年ぶりにメガホンを取った新作、広瀬すず主演「ゆきてかへらぬ」が2月21日に公開される。
来年が待ち遠しい!
シネマパーソナリティー
荒井 幸博
1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。