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荒井幸博のシネマつれづれ

今井美樹さんと山形

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紅花映画2作品が結ぶ縁

 スタジオジブリ制作による「おもひでぽろぽろ」(高畑勲監督)が公開されたのは今から32年前の1991年。公開の3年前に高畑監督と出会った私は「山形篇」のコーディネーター的役割を高畑監督から依頼され、一臂(いっぴ)の力をお貸ししたことから本作への想い入れは一入(ひとしお)のものがある。

<荒井幸博のシネマつれづれ>今井美樹さんと山形

 この公開から30年後の2021年、私のかつての職場の先輩だった高橋卓也さんが山形市出羽地区の紅花生産者・長瀬正美さんとの出会いをきっかけにプロデュースしたドキュメンタリー映画が「紅花の守人 いのちを染める」だった。


 メガホンをとったのは天童市出身・在住の佐藤広一監督。佐藤監督が「おもひで」でヒロイン・タエ子の声を演じたロンドン在住の今井美樹さんにナレーターを依頼したところ、今井さんは快諾。コロナ禍でもあり、ナレーション撮りは山形とロンドンでリモートで行ったという。


 こうして完成した「紅花の守人」は21年10月10日の山形市での完成披露上映会を皮切りに、現在も全国どこかで公開されている。

 今井さんに直接お会いしたのは昨年9月4日、東京・東中野での「紅花の守人」上映の際。その後、今年5月13日に高瀬の高楯中体育館でも上映会があることをお伝えすると、なんと今井さんが当日にサプライズ登場してくれたのでした。


 今井さんが高瀬を訪れたのは初めてだが、さながら「タエ子の30年ぶりの里帰り」だった。


 今井さんは紅花が咲き誇る7月7日~8日にも山形を訪れ、「おもひで」の高瀬地区で“紅花染め”、「紅花の守人」の出羽地区で雨天の下“紅花摘み”と、タエ子を追体験したのだった。

 2つの映画が結んだ縁を、5年前に82歳で永眠された高畑勲監督、昨年10月に66歳で急逝した高橋卓也さんも喜んでくれているでしょう。


 最後に、今井さんは11月3日、紅花が描かれた緞帳のやまぎん県民ホールでコンサートを行うことを付記しておく。

 


<荒井幸博のシネマつれづれ>ルー、パリで生まれた猫

荒井幸博(あらい・ゆきひろ)1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。

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