2022年回顧
目立った県内映画人の活躍
今年は山形にゆかりのある映画人の活躍が目立った嬉しい年だった。
酒田市出身の和島香太郎監督が脚本・監督を務めた「梅切らぬバカ」は、老いた母と自閉症の息子が自立の道を模索する人間ドラマの秀作で、いまだにどこかの映画館で上映中。
最上町出身の岸善幸監督は、犯罪者とその社会復帰を目指す保護司との奮闘を描いた「前科者」を世に問い、大きな反響を呼んだ。
東北芸工大映像学科卒の飯塚花笑監督が脚本・監督した「フタリノセカイ」は、トランスジェンダーである自身だからこそ描き得た珠玉のラブストーリー。
芸工大で飯塚監督の後輩、風間太樹監督の「チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」は、人気コミックがテレビドラマ化されるやアジア200以上の国や地域で大人気となっての映画化。風間監督は大ヒットドラマ「silent」も手がけた。
「チェリまほ」の録音は、芸工大で風間監督の教官だった酒田市出身の石寺健一さんが担当。石寺さんは「Dr・コトー診療所」など5作品の録音も手掛けている。
風間監督同様、山本学園(現・惺山高校)OGで、長年スタイリストとして活躍している荒木里江さんは「百花」、そしてNHKドラマ「拾われた男」のスタイリストを務めた。
米沢市出身の俳優・眞島秀和さんは、「破戒」「ある男」など映画7本、ドラマ9本に出演する売れっ子ぶり。そして9月30日公開の話題作「アイ・アムまきもと」は庄内を中心に県内各地で撮影されたのは記憶に新しい。また、原田眞人監督、岡田准一主演のヒット作「ヘルドッグス」の原作者は南陽市出身の作家・深町秋生さん。
これらの活況の陰で、山形国際ドキュメンタリー映画祭をけん引し、優れた映画制作で山形の映画文化の向上に貢献してきた高橋卓也さんが10月に心筋梗塞のため66歳で急逝。哀しみは深い。
シネマパーソナリティー
荒井 幸博
1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。