太陽の子・キネマの神様市子
志村、三浦を偲ぶ2作品
公開中の「キネマの神様」は松竹映画100周年記念作品。メガホンを取ったのは今年9月に90歳を迎える山田洋次監督。
1950年代、映画監督を目指し、助監督として撮影現場で働くゴウ(菅田将暉)は、近所の食堂の娘・淑子(永野芽郁)や親友の映写技師テラシン(野田洋次郎)とともに映画への夢を語らう青春の日々を過ごしていた。だが待望の初監督作「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大ケガを負い作品は頓挫。自暴自棄になったゴウは撮影所を辞めて帰郷するのだった。
それから約50年。かつて自身が手がけた「キネマの神様」の脚本が孫(前田旺志郎)によって甦る。ギャンブルと酒浸りの日々を送っていたゴウ(沢田研二)の中で、止まっていた夢が再び動き始める――。
昨年3月29日、新型コロナウイルス感染症による肺炎で急逝した志村けんが演じる予定だった年老いたゴウ役は沢田研二。かつて志村と同じ事務所に所属し、コント「ジュリけん」などで志村とは親しかった沢田が敢えて損な役回りの代役を引き受けたのだった。
沢田が山田洋二作品に出演するのは「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」(82年)以来39年ぶり。同作品での共演がきっかけで現在の妻・田中裕子と結婚した経緯がある。
その田中が主人公の母親を演じた「太陽の子」も公開中。第二次大戦末期、日本の原爆開発を巡り時代に翻弄された若者たちの葛藤を描き、昨年8月にNHKで放送された同名ドラマの劇場版。
原爆開発研究に没頭する学生・修役を柳楽優弥、修の弟で兵士として戦場を体験し苦悩する裕之を昨年8月30歳で夭折した三浦春馬、二人の幼なじみで二人を温かく包む世津を有村架純がそれぞれ熱演している。
シネマパーソナリティー
荒井 幸博
1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。