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荒井幸博のシネマつれづれ

サイレント・トーキョー

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ワクワクのストーリー展開

 「アンフェア」シリーズなどの人気作家・秦建日子が、元ビートルズのジョン・レノンの楽曲「Happy Xmas(War Is Over)」にインスパイアされて執筆した「サイレント・トーキョー And so this is Xmas」の実写映画版。監督は「SP」シリーズの波多野貴文。

<荒井幸博のシネマつれづれ> サイレント・トーキョー

 クリスマスイブの東京。恵比寿に爆弾を仕掛けたという電話がテレビ局に入る。半信半疑で中継に向かった契約社員の来栖(井之脇海)と、たまたま買い物に来たアイコ(石田ゆり子)は同じベンチに腰をおろし、爆発に遭遇してしまう。


 現場を離れた2人は姿をみせない犯人から「要求は首相との生対談。受け入れない場合は渋谷・ハチ公前を爆破する」という声明文を拡散するよう求められる。

 これに対し首相は「テロには断固屈しない」と要求を拒否する。知らぬ間に爆発事件の実行犯にしたてられていく2人。やがて朝比奈仁(佐藤浩市)の「計画は俺が立てた」という言葉に端を発し、それまでの日常は非日常へと一変する。果たして東京1400万人の運命は――。

 爆破場面の撮影が行われたハチ公前広場のオープンセットは、栃木県足利競馬場跡地に再現、5.5メートルのツリーと巨大壁画が作られた。


 エキストラは1日最大1200人、総勢1万人。そのうえで、VFX技術に長けた制作会社ロボットによる爆破シーンのリアルさは目を覆いたくなるほど。


 伏線が巧みに貼られミスリード、そして俳優の力により、犯人と思しき人間が次々変わっていくストーリーテリングにグイグイ引き込まれていく。

 「Happy Xmas」が発表されたのは、ベトナム戦争がドロ沼化していた1971年で、戦争終結と平和を願って作られた曲。それから50年近く経ったが、戦争は相変わらず世界のどこかで起こっている。


 12月8日はレノンの没後40年にあたる。

シネマパーソナリティー

荒井あらい 幸博 ゆきひろ

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。


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