〈荒井幸博のシネマつれづれ〉ゴールデンカムイ
人気漫画、山﨑賢人で映画化
ゴールドラッシュに沸く明治後期の北海道。日露戦争に従軍し、数々の戦場で阿修羅のような戦いぶりから「不死身」と称された元陸軍兵・杉元佐一(山﨑賢人)は、ある目的のため大金を手にしようと砂金採りに明け暮れていた。
杉元は、後藤という男(マキタスポーツ)からアイヌ民族が奪われた金塊の存在を知る。犯人で「のっぺら坊」と呼ばれた男は獄中で、奪った金塊の隠し場所を示す入れ墨を24人の囚人の体に彫って彼らを脱獄させ、彼ら全員の入れ墨によって一つの暗号が構成されているのだという。
金塊探しに動き始めた杉元だったが、ヒグマに襲われ、アイヌの少女アシリパ(山田杏奈)に救われる。彼女はのっぺら坊に父親を殺され、父の敵を討つため金塊を追う杉元と行動を共にするのだった――。
2014~22年に「週刊ヤングジャンプ」で連載され、これまでに累計発行部数2700万部を突破した野田サトルの人気漫画「ゴールデンカムイ」の実写映画版。漫画の実写映画版の主人公といえば山﨑賢人。彼の代表作「キングダム」のアクション監督・下村勇二とタッグを組み、「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭監督が演出を担当している。
二百三高地での戦闘や、大ヒグマとの死闘など、山﨑の卓越した身体能力を生かした殺陣やアクションは見応え充分。 金塊の所在を示す暗号を巡り軍人や元新撰組と三つどもえの争奪戦を繰り広げるのだが、激しく壮絶なシーンだけでなく、山田杏奈や〝脱獄王〟白石役の矢本悠馬とのやり取りには笑いが生まれる軽やかさもあり、アイヌの料理や文化も描かれ、見どころ満載。
山田は、庄内や戸沢村で撮影した昨年の「山女」ヒロインに続いて野性味あふれる役を外連味(けれんみ)なく演じている。他にも玉木宏、舘ひろし、眞栄田郷敦、高畑充希、泉澤祐希、工藤阿須加らがどんな役を演じたのかは観てのお楽しみ!
そして事前に名前は明かせないが、山形ゆかりの〝あの人〟も!
シネマパーソナリティー
荒井 幸博
1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。