山形コミュニティ新聞WEB版

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生活習慣病と脳疾患(下)

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 今回は頭痛と生活習慣病の関係についてお話ししましょう。

高血圧や高脂血症

 頭痛と高血圧は無関係だと思われるかもしれませんが、これまでの疫学研究からは、片頭痛や重度の頭痛がある人は頭痛がない人に比べ将来的に高血圧になるリスクが21~37%上昇することが報告されています。その理由として、高血圧と片頭痛には共通する遺伝子が存在することが挙げられます。

 片頭痛患者はそうでない人に比べ高脂血症(高コレステロール血症)のリスクも20%高まるとされます。高血圧と同様、片頭痛と高脂血症には共通の遺伝子が存在すると考えられています。

糖尿病にはなりにくく

 逆に、片頭痛患者の糖尿病リスクは30%少ないことが報告されています。糖尿病の治療薬や空腹で低血糖になると片頭痛が誘発されることが知られていますが、片頭痛の頻度が高い人は低血糖の時間が長いと考えられます。

 また片頭痛が起きると吐き気や食欲低下が2~3日続くため、カロリー摂取量が少なくなってしまうことも理由と考えられます。

肥満との関係は

 肥満と片頭痛の関係も明らかになっています。肥満患者では正常体重者に比べて片頭痛を発症するリスクが81%上昇し、肥満者ほど片頭痛が起きる回数も多くなり、慢性化しやすくなることも報告されています。肥満は、生活習慣病をはじめとして数多くの疾患のもとになります。

健康管理を怠りなく

 無関係に思える生活習慣病と片頭痛にも様々な関わりがあることがお分かりになったでしょうか。いまだに謎の多い片頭痛ですが、自分でできる範囲での食生活、体重管理などの健康管理を行うことは片頭痛の悪化を防ぐためにも大切です。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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