山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

尿路結石(上)

Share!

 尿路結石は、腎臓(じんぞう)から尿道までの尿の通り道のどこかに石ができる病気で、背中や腰に起きる突然の激痛という特徴的な症状で知られます。

「尿路結石世代」の存在

 2015年に行われた尿路結石の全国調査では、男性のピークは10年前の40代から50代へ、女性のピークも50代から60代にシフトしていることが分かりました。

 ただ当然のことながら、10年前の40代は10年後には50代、10年前の50代は10年後には60代です。男女とも尿路結石の罹患(りかん)率が高い「結石世代」ともいうべき年齢層が存在していることが示唆されます。

 15年の調査から9年後の現在の年齢に当てはめると、男性は60代、女性は70代が結石世代ということになります。

男女別の原因は

 男性の尿路結石の原因は主に食生活が関係しているとされ、60代男性、晩酌習慣のある昭和世代の肥満男性像というのは予想通りではあります。

 一方、女性の尿路結石症の主因は女性ホルモンの低下で、それに伴う骨粗しょう症や尿中カルシウムの増加が引き金になるとされます。多くの70代女性が抱えている悩みでしょう。

若者世代は減少

 また15年調査からは、若い世代の罹患率が減少していることも分かりました。これは飲酒離れが進んで深夜の飲食の機会が減っていることや、メタボリックシンドロームの概念の浸透に伴い、健康意識の変化が影響していると思われます。

予防するには

 尿路結石を予防するには水をしっかり飲み、バランスのいい食事に努めることです。水分摂取量は食事以外で1日2リットル以上が理想。食事は朝食をしっかり食べ、昼食は普通に、夕食は控え目にして就寝4時間前までに済ますことです。

 食べ過ぎに注意が必要なのは動物性たんぱく質、塩分、糖分と脂質、シュウ酸やプリン体などです。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間