片頭痛(下)
前回は片頭痛の慢性化についてお話ししましたが、今回は片頭痛の具体的な症状や誘発因子についてのお話です。
子どもも発症
片頭痛が始まる年齢は男女とも12歳ごろがピークですが、中には幼稚園のころから発症するお子さんもいます。ただ幼くて症状をうまく伝えられず、機嫌が悪くなったり、横になったりしているケースが目立ちます。
子どもに限らず片頭痛の頻度ですが、最新の疫学調査からは月に0~3日が67%で最多、次いで月8日以上が17%、月4~7日が16%と続きます。一口に片頭痛といっても回数は様々です。
発症のピークは30歳代
片頭痛の症状ですが、最初は月に1~2日程度だった痛みの日数が徐々に増えていくというケースが多いようです。
男女ともに頻度・痛みのピークは30歳代で、40歳以降になると徐々に改善していきます。ただこじらせてしまうと40歳以降も頭痛が改善しないことが多いのも実情です。
睡眠不足などが原因
片頭痛の誘発因子としては、睡眠不足、過度のダイエット、コーヒーなどカフェインの過剰摂取、運動不足などが広く知られています。
今年発表された論文でも、予防薬の治療介入を行わない場合、3カ月後の頭痛日数は変わらないことも報告されています。つまり、片頭痛が今月に8日あれば、3カ月後も8日のままということです。
今後は予防治療が軸に
世界神経連合は「頭痛を含む神経疾患は早期発見と効果的な管理で予防は可能で、脳の健康のためには予防に関する世界的な教育が不可欠」と提言しています。
これからは片頭痛も症状が現れた時に対処するのではなく、頭痛が起きないようにする予防治療が中心になっていくと考えられます。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。