血尿
血尿には見た目で分かる「肉眼的血尿」と、健康診断の尿検査で判明する「顕微鏡(けんびきょう)的血尿」があります。
ストレスは関係なし
いずれにせよ、血尿が出た場合、血尿を指摘された場合はすぐに泌尿器科を受診しましょう。特に愛煙家の方は膀胱がんのサインかもしれませんのでご注意ください。
患者さんからはよく「ストレスが原因かしら?」と聞かれますが、ストレスや過労で血尿が出ることはありません。
女性に多い膀胱炎
診断には尿検査、超音波検査、CT検査があります。
女性で多いのは膀胱炎で、排尿時の痛みや頻尿、残尿感などの症状があります。たんぱく尿を伴う血尿なら腎炎(じんえん)、尿中に細菌や白血球が増えていれば膀胱炎(ぼうこうえん)などの炎症による血尿が考えられます。
腎がんの可能性も
超音波検査を行うと腎結石の有無が分かり、ある程度の大きさであれば腎がんを指摘できることもあります。尿管が結石や腫瘍(しゅよう)で閉塞(へいそく)すると「水腎症(すいじんしょう)」という腎盂(じんう)の中に尿がたまっている所見を認めます。超音波検査で異常所見があればCT検査を行い、確定診断を行います。
コロナワクチンで血尿が
最近、新型コロナウイルスのワクチン接種後に血尿が出る事例が報告されています。実際、当院でもそんな方が数名いらっしゃいました。
結論から申し上げれば、比較的若い女性に多く、腎機能障害を認める症例はごく一部。大部分は一過性の血尿にとどまることが多いようです。
IgA腎症患者に多く
また7割がIgA腎症の持病がある方で、残りの方を検査しても大半がIgA腎症と診断されたそうです。ただ深刻な腎機能低下につながるケースは少なく、血尿自体は数日以内に消失することが多いとされます。
いしい腎泌尿器科クリニック 院長
石井 達矢(いしい たつや)
1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。