山形コミュニティ新聞WEB版

内科あれこれ

ピロリ菌の除菌

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 「慢性胃炎」と指摘されながら、ピロリ菌の除菌を済ませていない方はいらっしゃいませんか?

慢性胃炎と指摘されたら

 これまでに何度も述べてきたように、胃がんの大半は「ピロリ菌」への感染が原因です。胃がピロリ菌に感染すると胃の粘膜(ねんまく)に炎症が生じ、慢性胃炎を引き起こし、引いては胃がんにつながってしまいます。

 ですので、検診で慢性胃炎と指摘された場合はピロリ菌を取り除くこと(除菌)が大切です。

住民検診の結果は

 ところが、過去2年間に山形市が実施した住民検診において、胃がんが見つかった22人のうち17人が過去に慢性胃炎と診断された方で、除菌を受けていたのは2人だけでした。

 住民検診ですので比較的高齢の方が多いのですが、早期に除菌していれば胃がんにならなかったかもしれないと思うと残念でなりません。医師の立場からすれば、「除菌への誘導は十分だったのだろうか」と反省しきりです。

胃がんを防ぐために

 一般に20~30代で除菌すれば100%胃がんにならず、40代では80%、50代で50%、60~70代以上でも3~4割胃がんが減るとされます。

 繰り返しになりますが、慢性胃炎と診断された方は必ず除菌を受けることを心がけていただきたいものです。

 そして除菌を受けた後も、可能なら毎年でなくてもいいので胃カメラでの検査を受けておけば安心でしょう。

若い人の場合は

 ただ、20~30代の方のピロリ菌陽性率は数%と考えられており、こうした若い方々にもやみくもに除菌をお勧めしているというわけではありません。

 現時点では、頻繁(ひんぱん)に胃痛や胃もたれに悩まされていて、かつ生活に支障があるような若い方だけに事情をご説明し、除菌を促しているのが実情です。

きくち内科医院 院長

菊地 義文(きくち よしふみ)

1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。

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