Let's know 脳!
子どもの頭痛(上)
今回から2回に分け、子どもの頭痛についてみなさんと一緒に考察していきましょう。
東京都医師会の調査
いささか旧聞に属する話ですが、東京都医師会が2011年に多摩市の小中学生約1万人を対象に1年間にわたって実施した調査で、繰り返して起きる頭痛(慢性頭痛)の割合は、小学生の6人に1人、中学生では3人に1人いることが分かりました。
慢性頭痛の中でも片頭痛は、大人の場合は女性に多いのが特徴ですが、小学3年生まではやや男児に多いことも明らかになりました。
頭痛持ち小児の共通項
また、「頭痛経験がある」と回答した小児には、①テレビ・携帯ゲームを1時間以上する②テレビを2時間以上見る③塾を含めた習い事が週4日以上ある④睡眠時間は7時間未満――といった共通項がみられました。
ただ意外な結果としては、「体育の授業以外に週何回、運動やスポーツをしているか」と聞いたところ、頭痛経験のある小児では「5日以上」の割合が多く、頭痛経験のない小児では「2日以下」の割合が多いことが分かりました。
ストレスが原因か
子どもが訴える様々な「痛み」の中で、最も多いのが頭痛です。子どもは大人と違い、身体や精神が常に発展途上にあります。必然的に身体や精神にストレスがたまりやすくなり、それが頭痛となって顕在化すると思われます。
まだまだ低い受診率
ただ、頭痛を訴える子どもの医療機関の受診状況は20%に留まっており、症状が深刻な片頭痛の子どもでも40%に過ぎないとされます。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。