ヒートショック
昨年末に54歳で亡くなった人気タレントの中山美穂さんの死因が「入浴中の不慮の事故」と発表され、世間ではヒートショックの可能性がささやかれているようです。
急激な温度変化で
ヒートショックとは、気温の変化によって血圧が上下し、心筋梗塞や脳卒中などの病気が起こることで、薄着のまま暖かい室内から屋外に出たり、寒い脱衣所から急に熱いお風呂に入ったりした時に起きやすいとされます。
特に注意が必要なのが入浴時で、ヒートショックを含む「入浴中の不慮の事故」による死者は推定で年間1万9000人に達します。これは交通事故死の何と5倍という多さです。多くが75歳以上の後期高齢者ですが、中山さんのように50代以下でも起こりえます。
望ましい入浴法は?
では、ヒートショックを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?
消費者庁などが紹介している望ましい入浴法は①温度差を減らすため脱衣所や浴室を前もって暖める②入浴前、入浴中に水分を補給する③湯温は41度以下で、湯につかる時間は10分まで④浴槽内で意識がもうろうとしたら、気を失う前に湯を抜く――などです。
山形でも「4126」
山形でも、かつて庄内保健所長を務められた松田徹先生が「4126(よいふろ)」運動を提唱されていました。
松田先生によれば、庄内地方で65歳以上の方に限れば浴室での死者数は交通事故での死者数の約3倍で、やはり湯温は41度、湯につかる時間は3分以内を勧められていました。
その話を聞いて以来、私はなるべくシャワーだけで済ますようにしています。冬場はさすがに湯船に入りますが、髪と体を洗った後はなるべく短時間で済ませています。
お気をつけください
寒いこの時期、ヒートショックにはくれぐれもお気をつけください。
きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。