薬物使用過多による頭痛
頭痛の種類として片頭痛や緊張性頭痛は良く知られていますが、これらの頭痛に次いで3番目に多い頭痛をご存知ですか?
薬の飲みすぎが頭痛に
正解は「薬物使用過多による頭痛」で、文字通り頭痛薬の飲みすぎを原因とする頭痛です。
症状や特徴としては①1カ月に15日以上頭痛があり、そのうち10日以上は鎮痛剤を内服している②朝起きた時から頭痛がする③締め付けられるような頭痛や、ズキズキする頭痛がおきる④以前に比べ薬が効かなくなってきた⑤頭痛への不安から薬が手放せない――などが挙げられます。
日本での現状は?
昨年12月に開かれた日本頭痛学会で、医療機関での薬剤使用過多による頭痛の現状が報告されました。2020年の1年間に急性期治療薬が処方された約15万患者のうち、約2000患者(約13%)に過剰処方が認められたというのです。
また報告では、予防薬を投与されている患者は15.6%に過ぎず、頭痛専門医がいる施設ではいない施設に比べて予防薬の処方割合が多いことも明らかになりました。
有効な新薬が登場
予防治療としては「原因薬剤の中止」と「予防薬の投与」の2つを組み合わせることが最も効果的と報告されています。原因薬剤を中止した場合、最初の1~2週間は激しい離脱頭痛が生じることがありますが、その場合に有効なのが新たな片頭痛治療薬「抗CGRP関連薬」です。
片頭痛患者に限った場合ですが、抗CGRP関連薬を使用すれば原因薬剤を中止しなくても頭痛から解放されることが報告されています。
症状があれば相談を
薬物使用過多による頭痛は適切な治療で軽減できる時代です。症状でお悩みの方は専門機関での治療をお勧めします。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。