山形コミュニティ新聞WEB版

脳の四方山話

認知症(上)

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 やまコミ読者の皆さん、初めまして。新年から始める私のコラムでは、脳に障害を持つ様々な患者さんに伴走している立場から、脳の疾患に関する四方山話を綴(つづ)っていきたいと思います。

今や国民病「認知症」

 さて、まずは誰もがなりうる「認知症」のお話から始めましょう。

 認知症とは、それまで正常なレベルだった知能機能が加齢や脳の病気により正常以下に低下し、社会生活が困難になった状態と定義されます。

 厚生労働省の調べによると、2012年に462万人と推測された認知症患者は25年には約700万人に増え、65歳以上の高齢者の約5人に1人にのぼる見通しです。認知症は日本人にとって今や国民病と言っても過言ではありません。

様々な症状が

 認知症の症状は、その原因によって異なりますが、もの忘れや理解・判断力の低下を中心に、暴言や介護への抵抗、幻覚妄想(もうそう)といった周辺症状を認めることがあります。

 もの忘れは認知症の初期症状としてつとに知られていますが、もの忘れが多くなっただけでは認知症とは断言できません。というのも、加齢に伴って誰でももの忘れが激しくなることがあるからです。加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れとは明確な違いがあります。

加齢による症状と違い

 例えば、高齢者でなくとも、ある程度お年を召された方なら「昨日の昼食はどこで何を食べたんだっけ?」と記憶を巡らせ、なかなか思い出せないことがあるでしょう。

 そんな場合、加齢によるもの忘れは「どこかで何かを食べたことは覚えている」のに対し、認知症によるもの忘れは「食べたこと」自体を覚えていないのです。

 つまり、認知症は過去の体験自体を忘れてしまう病気なのです。

乞うご期待!

 次回からは認知症の予防、薬物療法のお話をさせていただきます。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

山形徳洲会病院

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