山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

前立腺肥大症(上)

Share!

 前立腺は男性にだけ存在する臓器で、膀胱の下にあり、精液の一部である前立腺液を分泌する役割を担っています。この前立腺が大きくなる病気が前立腺肥大症で、様々な排尿障害が現れます。

ホルモンと加齢が原因

 前立腺肥大症の原因として明らかなものは加齢と男性ホルモンで、いわば男性全員が危険因子を持っているといっていいでしょう。実際、40~50歳までは50人に1人であったものが、加齢とともに増加し70歳代では8人に1人が罹患するとされています。

 その他の原因としては、何らかの遺伝の関与、肥満やメタボリック症候群などが指摘されています。

前立腺がんとの違い

 覚えておいていただきたいのは、前立腺肥大症は良性疾患で、前立腺がんのように他の臓器に転移することはありません。前立腺肥大症と前立腺がんはできるところも異なり、基本的にはまったく異なる疾患です。

症状は排尿障害

 具体的な排尿障害は「尿に勢いがない」「排尿が途中で止まる」「排尿開始までに時間がかかる」などです。

 また「頻尿」「夜間頻尿」「排尿したばかりなのに残尿感がある」「排尿後の尿の切れが悪く、下着やズボンを濡らしてしまう」といった症状を呈することもあります。

まずは問診で診断

 診断では、まずは症状の程度を調べる「国際前立腺症状スコア(IPSS)」と「QOL(生活の質)スコア」という質問票による問診を行い、症状スコアを集計します。7点以下が軽症、8から19点が中等症、20から35点は重症と判定されます。

 また、前立腺の大きさや残尿量を調べる超音波検査のほか、前立腺がんを合併しているかどうかを調べるため、血液中の前立腺特異抗原(PSA)値の測定などを行います。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間