認知症(中)
認知症は、発症してしまうと完治させることは難しい病気です。ですので大切なのは予防です。
注目したい「MCI」
WHO(世界保健機関)が認知症のリスクを減らすガイドラインを作製していますが、そこに示されているのは定期的な運動、禁煙、健全な食生活、生活習慣病予防、社会的活動への参加など、どちらかというと健康全般の増進に有効とされる至極一般的な手段ばかりです。
そんな中で、近年、認知症予防として注目されているのが「MCI(軽度認知機能障害)」という状態です。
65歳以上の4人に1人
MCIは、認知機能の低下は感じるものの日常生活には支障がない状態、いわば〝認知症予備軍〟です。「家電製品の使い方に戸惑う」「前日の食事が思い出せない」「仕事上のミスが増えた」など、ささいな異変がMCIの兆候です。
症状が軽いため見過ごされがちですが、65歳以上の4人に1人がMCIとされています。

適切な治療を行えば
MCIが進行すると多くは認知症に至りますが、逆に、現状が保たれたり、回復したりするケースもあります。様々な研究報告の中で、MCIでも1年で40%以上の人の認知機能が回復したという報告もあります。
つまり、認知症予防のためにはMCIかどうかを早期に発見し、適切な治療を行えば認知症予防につなげられるというわけです。
二の足を踏まないで
MCIの早期発見のためには、専門的な認知機能検査などが必要で、まずは医療機関を受診されることをお勧めします。
「この程度の症状で受診してもいいの?」と二の足を踏まれる方もいらっしゃるでしょうが、その一歩が認知症予防の大きなステップになるかもしれないのです。
そしてMCIを含めた認知症治療は昨今、大きな転機を迎えています。

ミロク脳神経リハビリクリニック 院長
齋藤 佑規(さいとう ゆうき)
1980年(昭和55年)酒田市生まれ。酒田東高から山形大医学部に進み、脳外科医として山大医学部付属病院、山形済生病院などでの勤務を経て2023年9月にミロク脳神経リハビリクリニックを開業。日本脳神経外科学会専門医・日本リハビリテーション医学会専門医。
