睡眠時無呼吸症候群(上)
皆さんは睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気をご存知ですか?
睡眠中に呼吸が止まる
SASとは睡眠中に気道が塞がって呼吸が止まり、体内の酸素量が低下する病気です。脳が低酸素状態になるので、眠りが浅く、日中の強い眠気などの症状が現れます。
原因の大半は肥満とされますが、SASになると脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが高まることが知られています。これらの積み重ねにより、重症のSAS患者さんが治療をせずそのまま放置した場合、8年生存率は63%とかなり怖い結果が出ています。
石破総理に罹患説
SASは男性に多い病気で、軽症を含めると中年男性の2割が罹患しているとされます。
皆さんの周りにも必ずSAS患者さんはいるはず。過去に、泊りがけの忘年会などで、大きないびきをかいていると思ったら急に音がしなくなり、心配するほど呼吸が止まってしまうような人はいませんでしたか?
一部の報道では、石破茂総理が国会で答弁以外は居眠りしていたり、椅子にダラッと据わっていることから「SASではないか?」と疑われているようです。

実はかくいう私も
実を明かせば、かくいう私もSAS患者です。
私は小さいころ、少なくとも中学生のころには症状が現れていました。中学3年の修学旅行の時に同級生から「お前のうるさいいびきが何回かとまり、その間、呼吸もしていないので死んだかと思った」と驚かれた記憶があります。
そして40歳台に入ったころには日中に眠気に襲われることが度重なり、何もしていないときだけでなく、外来で診察中にも〝ガクッ〟と一瞬眠ってしまうほどになっていました。
治療法は次回に
次回は、そんなSAS患者の私が救われた治療法についてのお話です。

きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。
