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それってアレルギー?②

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 前回は魚の不適切な管理でつくられるヒスタミンよって起きる「ヒスタミン中毒」のお話でしたが、同じような症状に「アニサキスアレルギー」があります。

アニサキスアレルギー

 アニサキスは線虫の一種で、長さは幼虫で2~3センチほど。サバやアジ、イカ、サーモンなどに寄生し、寄生された魚介類を生で食べると生きたアニサキスが胃や腸に入り込み、吐き気や嘔吐などの食中毒「アニサキス症」を引き起こします。

 そしてアニサキス症を発症すると、その後にアニサキスの死骸や分泌物、卵などのタンパク質成分に免疫が過剰に反応してしまうのがアニサキスアレルギーです。

生命にかかわることも

 症状はじんましんや皮膚の赤み、呼吸困難、嘔吐、腹痛など食物アレルギーと変わらず、アニサキスアレルギーと特定することは困難です。ただ重症化すると生命にかかわる「アナフィラキシーショック」に至ることがあるので要注意です。

過去10年で5倍に!

 アニサキスアレルギーを引き起こすアニサキス症は増加傾向にあります。厚生労働省によると、2023年のアニサキスによる食中毒の発生件数は432件で、過去10年間で5倍に!

 また、これまでは太平洋側で多く報告されていましたが、最近では日本海側でも増えているとされます。さらに、中高年の患者さんが多いことも留意していただきたい点です。

症状あれば相談を

 「魚アレルギーかも?」と思っていたら、実はアニサキスアレルギーだったというケースも少なくありません。中高年の方で、魚を食べた後に急に体調が悪くなるようになった場合は最寄りの医療機関に相談してみてください。

十日町ようへい内科クリニック 院長

中本 洋平(なかもと ようへい)

1978年(昭和53年)、岩手県盛岡市生まれ。新潟大学医学部を卒業後、新潟市民病院などで内科医として研鑽を積む。2024年10月に十日町ようへい内科クリニックを開業。総合内科専門医、感染症専門医、Japanese Medical Emergency Care Course(JMECC)インストラクター。

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