睡眠時無呼吸症候群(下)
前回は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が睡眠時に呼吸が止まってしまう恐ろしい病気で、実は私もSAS患者だというお話でした。今回はそんな私が救われたある治療についてのお話です。
CPAP療法
私が救われたのは「CPAP(シーパップ)療法」というものです。
CPAPは空気を送り込む本体とチューブ、鼻に装着するマスクの3パーツで構成され、呼吸にあわせてマスクから圧力をかけた空気を流し込んで気道を確保します。
呼吸の深さは患者によってことなりますが、これらを自動的に調整する機能もあります。
基本的にCPAPは毎日使い続けることになります。私は今日まで20数年間お世話になっていますが、お陰様で朝の目覚めは爽快です。

普及にはほど遠く
ただ、国内に約930万人とされるSASの潜在患者のうち、CPAPで治療を受けている方は約73万人にとどまっており、まだまだ普及しているとはいえないのが実際のところです。
前回も述べたように、SASは放置しておくと8年生存率が63%という恐ろしい病気です。それがCPAP療法で90%以上防げることを考えると、何とかもう少し普及させたいというのが私の考えです。
手軽な簡易検査
SASかどうかを確認するには精密検査と簡易検査がありますが、入院が不要な簡易検査なら開業医でも承っています。
検査の仕組みは、鼻につける呼吸センサーと指につける酸素濃度の測定器を借り、自宅でそれを一晩装着して眠ります。医院はそのデータからSASかどうかを診断し、SASならCPAPが選択肢になります。
保険適用の対象
簡易検査で無呼吸が1時間に40回以上ある場合、入院が必要な精密検査で20回以上ある場合は保険が適用されます。

きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。
