相続の基礎知識
相続の基礎知識/(51)遺言の執行
遺言に関してこれまで何度か取り上げてきましたが、今回は遺言書がある場合の相続手続きに関するお話です。
必要な「検認」手続き
遺言には常に偽造の危険がつきまとうため、遺言者が亡くなった場合、遺言書の保管者は速やかに家庭裁判所に遺言書の「検認」の申し立てを行う必要があります。
家裁は遺言方式を調査し、「封印のある遺言書」なら家裁で開封したうえで遺言書検認調書を作成し、検認済みの証印を付した遺言書を申立人に返還します。
不備あれば過料も
検認手続きを踏まなかった場合や、遺言書の開封を裁判所で行わなかった場合は5万円以下の過料が課せられます。
また公正証書遺言や、2020年に始まった自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は検認は不要です。なお適切な検認を受けたかどうかは遺言の効力とは関係がありません。
遺言執行者とは
遺言内容を法的に実現させるには「遺言執行者」の行為が必要になります。遺言執行者は遺言の執行に必要な行為をする一切の権利義務を有します。
遺言者は、遺言で遺言執行者を指定することができます。遺言執行者に指定された人には就任を承諾するか否かの自由がありますが、承諾した場合には直ちに任務を遂行しなければなりません。
指定されていない場合
遺言に遺言執行者が指定されていない場合は、家裁に遺言執行者の選任を請求することになります。ただ未成年者や破産者は遺言執行者となることができません。
専門家に相談を
実際に相続が発生してしまった後、どのように行動すべきなのか迷われる場合もあろうかと思われます。お悩みの方は専門家に相談されることをお勧めします。
遠藤直樹法律事務所 弁護士
遠藤 直樹(えんどう なおき)
1985年(昭和60年)山形市生まれ。2014年に司法修習修了。趣味は釣り。山形県弁護士会所属。