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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》第183回 西蔵王有料道路

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 西蔵王から蔵王温泉に至る道は以前からあるにはあったが、ススキ林の間を縫うような細い道で、車の運転も細心の注意を要するものだった。

 この道は約5年の工事期間を経て1986年(昭和61年)8月、仙台から蔵王温泉に観光客を呼び込むルートとしてリニューアルされ、「西蔵王有料道路」と命名されて開通した。

 当初、仙台と蔵王温泉をつなぐ最短ルートということで料金設定も強気で、普通車で片道700円ほどだった。当初は事前に料金を知らない人も多かったとみられ、料金所の手前でUターンする車も少なくなかった。

 やがて高額な料金が広く知られるようになると交通量は減少。運営する山形県道路公社も料金を見直し、310円に引き下げられた。

 ただ料金窓口の建物や管理事務所、車庫など付属施設も多く、料金引き下げ後の実入りでは施設維持費や人件費をまかなうのは難しいだろうと思われた。

 果たして同道路は2015年に蔵王山の火口周辺規制に伴う観光客減少対策として暫定的に無料開放された後、16年4月から恒久無料化され、施設も撤去された。

 恒久無料化は当初は開通30年となる8月からの予定だったが、半年前倒しされた。(F)

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