セピア色の風景帖
《セピア色の風景帖》第184回 寒河江温泉 なか湯
戦後に湧き出した寒河江温泉は、その歴史が浅いこともあって他の温泉地ほどの知名度はないが、昭和50年代に誕生した新寒河江温泉とともに市民を中心に親しまれている。
他の温泉地のように宿泊施設での入浴もできるが、「ゆ~チェリー」や「湯るりさがえ」などの日帰りの入浴施設が人気の中心となっているのも寒河江の特徴である。
JR寒河江駅前にあった「なか湯」も、20年ほど前の再開発に伴って今は足湯になっているが、往時は気軽に入浴することのできる格安の温泉であった。塩分のある湯は熱めの掛け流しで、さっぱりとした入り心地で評判が高かった。
だが管理費を捻出するのが難しかったのか、気軽に観光客に親しんでもらうためなのか、改築時には浴室が撤去され、公園に整備されることとなった。
駅前の温泉という貴重な存在だったので、JR高畠駅のように駅舎内に入浴施設を併設しても面白かったかもしれない。(F)