相続の基礎知識/(64)負担付贈与
あなたが生前に不動産などを子どもに譲渡しようと考えたとします。ただあなたには銀行に借金があり、子どもには不動産を無償で譲渡する代わりに借金も肩代わりして欲しいと考えています。
こうした贈与を「負担付贈与」といいます。
義務を負わせる贈与
負担付贈与とは、相手にただ(無償)で財産を与える一般の贈与と異なり、相手に一定の義務を負わせることを条件にした贈与のことです。
負担付贈与の場合、相手がその負担する義務を怠ったとすると、贈与した側は債務不履行により贈与が解除できます。不動産を譲渡していたとすれば、贈与を解除して不動産を取り戻すことができるのです。
贈与税の仕組みは?
負担付贈与の場合の贈与税ですが、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に贈与税が課税されることになります。
例えば、父親から時価1500万円の土地の贈与を受ける代わりに子どもが父の銀行借入金1000万円を負担することになったとします。
この場合、1500万円から1000万円を控除した500万円が贈与税の対象になります。
贈る側に所得税も
なお父親の方は、銀行借入金1000万円を負担しなくて済むことになるのですから、土地を1000万円で譲渡して銀行借入金を返済したのと同じことになります。
従って、1000万円を収入金額として譲渡所得の計算を行い、所得があれば譲渡所得の申告が必要になります。
例えば、土地の時価が1500万円でも取得した際の購入額が500万円だったとすれば、500万円の土地を1000万円で売却したことになり、差し引き500万円の譲渡所得が発生することになります。
専門家に相談を
このように贈与する側、される側の双方で税金が発生する可能性がありますので、詳しくは専門家にご相談ください。
鈴木僚税理士事務所 税理士
鈴木 僚(すずき りょう)
1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。