悲運の提督/「判官びいき」の系譜
「判官びいき」の系譜/源 義経:第9回
鈴木がつなぐ羽黒と熊野
義経や弁慶らは山伏に変装して日本海を北に落ち延びた。「義経記(ぎけいき)」ではその際、直江津(新潟県上越市)までは事情を聞かれたら「羽黒山伏が熊野に参詣した帰り」と答え、直江津を過ぎたら「熊野山伏が羽黒山に参詣に行く途中」と答えようと申し合わせている。
むろん物語としての設定だが、出羽三山と熊野三山がそれぞれ東西の修験道の代表的拠点で、両者には往来があった実態をうかがわせる。