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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第129回 大沼デパート立体駐車場

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 山形市の中心商店街である七日町では、昭和50年代に入ると自家用車の隆盛に伴い駐車場不足が表面化し、駐車場整備で一足先を行くJR山形駅周辺に客足を奪われるようになった。

《セピア色の風景帖》 第129回 大沼デパート立体駐車場

 七日町を代表する大沼デパートも対応策を迫られ、本店から100メートルほど西の栄町通り沿いに自走ループ式の高層立体駐車場を建設して駅前の脅威に対抗した。
 休日には立体駐車場の前に自家用車があふれ、駐車場から大沼に向かう人の列も見られた。
 当時の客はこの程度の移動は苦にせず、買い物条件を満たさないと料金がかかることもあり、当然のことと捉えていたようだ。

 しかし、郊外店が無条件駐車場を備えて広がりを見せると事情は大きく変わっていった。加えてRVやミニバンなどの大型車種が流行するにつれ、旧式の立体駐車場の内部ではスムースに曲がり切れないという点も敬遠されるようになった。

《セピア色の風景帖》 第129回 大沼デパート立体駐車場

 七日町の人の波が次第に減っていく中、かつては殷賑(いんしん)を極めた大沼の立体駐車場は、栄町通りの拡幅に合わせて静かに姿を消した。 (F)

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