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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第112回 花川橋跡石柱

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 山形市谷柏(やがしわ)の丹野酒店付近に花川橋という小橋がある。現在の橋ができたのは平成14年だが、その架け替え工事の際、残土とともに処理されつつある1本の石柱があった。

《セピア色の風景帖》 第112回 花川橋跡石柱

 工事が進む中、石柱に近寄ってみると刻まれていたのは「花川橋」の橋名と、その裏には竣工年と思われる「嘉永五年」の文字。しかも刻まれた文字には当時のものかは不明であるが、うっすらと朱の彩色が残っていた。
 嘉永5年といえば将軍は江戸幕府12代徳川家慶(とくがわ いえよし)の時代。ペリーが浦賀に現れる前年のことである。

 私の知る限り、県内の道路橋の遺構としては最古のものと思われ、そのままでは廃棄物になってしまうため、市の教育委員会に連絡して保護措置を求めることにした。
 幸い石柱は残されることになったが、同様のことは昭和59年に行われた改修の時にもあったのだという。

《セピア色の風景帖》 第112回 花川橋跡石柱

 それ以前の花川橋は丸太に土をかぶせたいわゆる土橋で、昭和27年から使われていた。さらにその前の橋が何代か続いたのだが、いずれも木橋だったはずで、嘉永の石柱は親柱ではなく橋名標だった可能性が高い。
 165年を経た小さな橋名標は現橋のそばに今もある。 (F)

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