山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第111回 教育会館

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 昭和2年に山形市木の実町で竣工した教育会館は、教会のような姿の4階建ての洋風建築物だった。隣接する山形ホテルを宿泊棟とし、県内教職員の福利厚生の拠点としての役割を担っていた。

《セピア色の風景帖》 第111回 教育会館

 昭和50年代になり、手狭になった建物は全面改築された。会議室や宿泊施設、レストランなどの充実が図られ、遠方から出張してきた教職員らはゆっくり泊まって次の日に備えることができるようになった。
 建物は改築されても山形ホテルの庭園は一部残されていたため、眺めて疲れを癒(いや)す人もあったであろう。

 あれから幾星霜(いくせいそう)。交通網が整備されて高速化が進むと、東京出張でさえ日帰りの出張費しか支給されなくなっていく。教育会館の宿泊者も次第に減っていき、やがて宿泊部門は閉鎖された。

《セピア色の風景帖》 第111回 教育会館

 平成18年、はじめから宿泊機能を持たない新施設「大手門パルズ」に代替わりすると、山形ホテルの系譜は完全に途絶え、当時から残る石灯籠(いしどうろう)のみが昔日の面影を醸している。 (F)

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