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セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》 第101回 旧山形市立第七小学校

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 前回も紹介した旧七小は、外装ばかりか校内随所にアールデコ風の意匠が施されていた。 

《セピア色の風景帖》 第101回 旧山形市立第七小学校

 階段手すり端に配置されたボウリング球のような珠石などは単なる装飾にとどまらず、芸術品のようでさえあった。この珠石が今どこにあるかは不明だが、廃棄されることなくどこかに保管されていることを望みたい。
 トイレさえデザインは手抜かりなく、男子用便器は半円の弧を描いて整然と並んでいた。現在なら信じられないだろうが、同時代の他の学校では、壁際に溝を切って便器の代わりにしていたところも珍しくなかった。

《セピア色の風景帖》 第101回 旧山形市立第七小学校

 旧六小にもあったスロープ階段の壁面には児童の作品が飾られており、作品を見ながら緩やかな坂を歩いていくと他の階に到達するというユニークな空間だった。エレベーターがなかった同校にあってはバリアフリーの役も果たしていたのではないだろうか。
 戦後、旧六小は米軍に占領され、スロープ階段はジープの昇降に使われたという説があるが、カーブのきつさから現実には難しいのではないかと思われた。 (F)

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